一章

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  ユンファはテラに事情を話す。テラは興味なさそうにしていた。 「何も知らねえな」テラの口から強烈なにんにく臭がする。 「んなわけねえだろ、次くだらねえ事言うんならお前の頭を、中身の見えた肉まんみてえにしてやるからな」 チャイポン一家が、以前藤堂組と組んでいた時があり一部の仕事は共同で出資した名残で今も細々と続いていた。 「わかった、すまねえ。ウチと藤堂系列で藤堂組の連中もたまに来るクラブなら知ってるぜ。でも、昼に行っても仕方ねえと思うが」 「確かにそうだな。テラ、夜までつき合え」 「えー、それはちょっと。俺も仕事あるからな」 「肉まん食ってるだけの仕事か……お前、もしかして今日休みなのか?」 「ウチにスパイでも寄越してんのか。休みだから、つき合ってもいいが、まあ条件がある」 「かもしれねえな。なんだ?」ユンファはクククと笑う。 「焼肉おごってくんねえか、俺焼肉好きなんだけど、一人で食うのは恥ずかしくてできねえんだ」 「ああ、それ俺もわかります」黙っていたラウが語る。    「……別に一人でホルモン食ったっていいじゃねえか」 「ユンファ変わってるな」 「うるせえ。おごんねーぞ」   瞬時に黙り込むテラの欲望に忠実な所が、ユンファは面白く好感をもっていた。 藤堂のとこは厳しいが、チャイポンの所は妙に抜けた連中が多い。 面倒な奴らだと思うが、気の良い連中でウチのボスもその部分だけは褒めていた。 3人はテラの要求通り、風俗街に隣接した焼肉店で早めの夕食をとる。 1人は大皿を平らげ、後の2人はほとんど箸をつけなかった。
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