一章

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2   人波をかき分け、比較的最近に建てられた5階立てビルにユンファ達は入ってゆく。 「本当にうちらのファミリーに?」エレベーターの中でラウが訊ねる。 「ああ」 「藤堂組やチャイポンの所じゃ?」 「違うって言ってんだろ」  犯罪都市新岩路では、無数の大小関わらず無法者達の勢力が危ういバランスで成り立っている。 路上では違法薬物が出回り、未成年が売春やマフィアの構成員になって、いつまでも止まぬ抗争に明け暮れている。 特に藤堂組、チャイポン一家、そして新参のリーファミリーの三大勢力が覇を競っていた。  リーファミリーは5階立てビルのオーナーであり、5階に居を構えていた。 事務所内は一般的な会社のオフィスと変わらない。 パソコンで作業する者。 スマートフォンを首と肩で挟んで通話とタイピングを同時に行う器用な奴。 いつもと変わらない雰囲気を感じ、タオがまだ仲間に伝えてない事がわかる。 ユンファも事務所に向かう前、ラウにリャンの件は黙っておけと釘をさしておいた。   ユンファはソファに寝っころがって分厚い本を読んでいたフェイロンと話す。
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