一章

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4 「おう、テラ」露店で肉まんを頬張っている男に、ユンファが声をかける。 「ユンファかよ」 「おい、てめえいつから俺に舐めた口叩けるようになったんだ」 「すまねえ。ちっと別な件で荒れててな」 慌てて言い繕いテラは、はちきれんばかりの巨大な腹をさする。 チャイポン一家のテラに聞き込みをする、とラーメンをすすりながらユンファが提案し即時決議された。 「そうっすね、兄貴。いきなり藤堂のシマ行ったら、やばいです」 「昼の事務所も、あんなすんなり行くのがまずありえねえからな」 踊らされている。 小津のバカにしたかのような態度に腹が立つ。 俺はおめえの操り人形じゃねえんだぞ、とユンファが奥歯を強く噛みしめる。  「で、テラを藤堂のシマへ案内させて、藤堂組の連中から聞き回るんですよね」 「ああ」 テラには、昔命を助けてやった恩がある為、多少の融通が利く。 藤堂組から潜れないなら、入り口を変えるまでだ。 「何があったんだよ」 「……どうせばれるし、ユンファだからな。他言無用で頼む。最近俺達の仲間が殺し屋のような奴に殺られてんだ」 「そうか」 「んで、俺もそいつを探してんの。どういう背格好なのかも皆目検討つかねえ」  ベラベラと喋り続けながらも、肉まんを食べるのを止めないテラにユンファは呆れる。
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