策士に武器を献上します。

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*** 「ふぅー…ただいま。」 返事の来ない、独り言に似た挨拶。 両親が共働きだから、部活のない日には家に帰っても誰もいないのだ。 喧しい足音をたてながら階段を上り、自分の部屋に入った。 スクバを床に放り投げてベッドに寝っ転がる。 見所のない天井を眺めながら、ふぅー、と長く息を吐いた。 今日は色々なことがありすぎて疲れた。身体が鉛のように重い。 うん、こんな時こそ、一旦全部忘れよう。 「さーて、予習復習だ!」 あまりに態とらしい空元気。つい自分でも苦笑いがこみ上げる。 真面目か、私! ま、ちゃんと勉強しますけどね。 ほとんど身を投げ出すように椅子に座り、参考書を探して本の山を弄る。 「…あ。」 私の指先に触れたのは、西野先輩から借りっぱなしのノート。
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