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「ねぇ陽菜、これからオケ行かない?」
「カラオケ?いいね、いこうよ!」
校門をでる時にそんな話をしていた。
「そうそう、さっき平塚の机の鞄さ、窓から落としてやったんだよね。」
「本人の前でやったの?」
「いやいなかったし。」
「あさちん、やるねぇ~
佳奈もいればよかったよ。」
「だから平塚のやつ、今頃必死こいて探してんじゃね?」
あさちんと佳奈は必死で鞄を探している平塚さんを想像して笑っている。
「あ!ケータイ机の中に忘れてきちった。」
「マジ?陽菜ってなんかぬけてるよね。」
「ごめん、取りにいってくるから先いってて。
すぐにいくから。」
「了解。」
二人に声をかけてから走って校舎に戻る。
下駄箱付近には今にも泣き出しそうな平塚さんがいた。
「平塚さん!」
「い、板崎さん・・・」
「ごめんね、本当にごめん。」
平塚さんに事情を話し、鞄があるであろう裏庭にいった。
裏庭には鞄と教科書やペンなどがバラバラに落ちていた。
それを2人で拾う。
「ごめんね、鞄のこと。」
「ううん、それに板崎さんがしたわけじゃないでしょ?
「え?」
「板崎さんは優しいから。
いつも小川さんや石田さんから庇ってくれてるじゃない。」
ちなみにいうけど小川さんや石田さんはあさちんと佳奈の苗字である。
「たまたまだよ。
てゆーか平塚さんさぁこんな風にやられたくないならイメチェンくらいすればいいのに。」
「うーん、私のお母さんが厳しいから絶対に許してもらえなさそう。それに無理して自分を変えたくないかな。そんなの疲れるし。」
なにもいえなかった。
「これで全部かな。ありがとう、板崎さん。」
「ううん、じゃあね。」
「うん。」
平塚さんがいなくなってからもそこから動かなかった。
「なにしてんの?陽菜。」
呼ばれたほうをみると知った顔があった。
「陽。」
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