黒瀬陽

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黒瀬陽

陽とは保育所からの幼なじみだ。 ぼんやりしていてマイペースで笑わない子だった彼はからかわれることも少なくなかった。 そんないじめっ子から陽を守っていたものだった。 それは小学生になってからも続いた。 さすがに中学年にもなるとそんなことはなくなっていった。 中学生になるとそのクールさがカッコイイと女子の人気を集めた。 まぁ全部断っていたらしいが。 ふと昔のことを思いだしながら目の前にいる陽をみた。 当たり前だが身長も伸び、声も低くなっている。 でもぼんやりしてそうにみえるとこは変わらない。 「なにしてんの?陽菜。」 「別に・・・陽はなんでこんなとこいるのよ。」 「外みてたら陽菜と平塚さん、見かけたから。」 「だからってくることないのに。」 私の言葉を無視して陽は私の髪に触る。 「髪、ゴワゴワしてる。」 「まぁパーマかけてるしね。 てゆーかさわんないでよ。」 「陽菜は黒髪のほうが好きだな。サラサラして気持ちよかったし。」 「あっそう。私もういくね。」 「待って、陽菜。一緒に帰ろ。」 「はぁ~!なんで?!」 「・・・帰り道同じだから? それに最近まともに話してない。」 「だ、誰のせいよ!!もういい。1人で帰って。」 「陽菜! 平塚さん、陽菜に似てるね。 友達になれるんじゃない? 友達になれたらもう怖くないでしょ??」 「・・・」 陽が見えなくなってから壁にもたりかかりため息をついた。 陽と話したのは久しぶりだ。 なぜなら私が陽を避けていたからだ。 そう私が陽にフラれてからずっと・・・ 自惚れてたんだ、陽も私のことが好きだなんて。 勘違いも甚だしい。 それからは気まずくてなにも話せなくなった。 ケータイを出してあさちんにメールした。 『なんか買い物頼まれてたみたい お母さんから(>_<) ごめんけど今日帰るね( TДT)ゴメンヨー』 こーいう時にさえ嘘しか言えない自分はやっぱり卑怯者だ。 ピコーン あさちんからだ。 『まぁそれなら仕方ないし(хх) じゃあ佳奈と盛り上がっとくわファイト~笑』 あさちんって本当は優しいんだよね。 平塚さんにはあんなことしてるけど。 あさちんや佳奈といると楽しい。 だけどそれぐらい苦しい。 自分を偽って慣れないことして毎日が本当つらい。 もともと私は真面目っ子だから。
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