生まれる前から背負った物語

12/146
前へ
/146ページ
次へ
 とにかく奥深い山奥で冬は豪雪地帯、 鹿や熊、 ウサギなどの猟と畑を作って自給自足の暮らしをしていた。  猟師のセイ、 その妻フサはこの山奥で生まれ育った。  たぶん何代も前から同じ生活が続いているのだろう。  二人はこの生活が苦にならなかった、 この生活以外知らなかった。  要するに幸せだったのだ。  数日おきに猟に出て獲物を捕らえる、 フサは畑仕事に精を出す毎日だった。  捕らえた獲物は貴重な革製品を作り、 山を越えて村に売りに行く。  その時余った肉も売った。  肉は内密で売るのだが村人の誰もが欲しがった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

178人が本棚に入れています
本棚に追加