178人が本棚に入れています
本棚に追加
リリが14歳になった頃、
セイは山から一匹の狼の子を抱いて帰って来た。
白い、
ガリガリに痩せた、
今にも死にそうな狼だった。
「この子は狼一族から見捨てられたんだ」
セイが言った。
狼の世界では地位や身分が厳しく決まっている。
地位が低いメスから生まれた子供の場合、
生命力がないと生きていけない。
下層の狼には食べ物が回って来ないのだ。
この弱い白い子供を見捨てて一族は去って行った。
強い者だけが生き残る、
自然の掟だった。
「この子、
一生懸命みんなに付いて行こうとして頑張ってたのね」
リリは涙ぐんだ。
それからリリは狼の子を育てた。
最初のコメントを投稿しよう!