生まれる前から背負った物語

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 シロの口元にはたくさんの血が凍り付いていた。  シロはほんの少しの間家族に甘えて再び出て行こうとした。 「ちょっと待ってシロ、 私も行く」  とリリが言ったがシロは振り返ってリリに牙を見せて威嚇した。  危険があるのだ。 「シロ、 心配するな、 一緒に行こう」  セイが長い鎌を引き寄せた。  シロは尻尾を振ってセイを先導した。  数時間後、 セイとシロが帰って来た。  セイは一人の男を抱えていた。  全身傷だらけで意識がなかった。  男を寝かせフサとリリが手当てした。 「この男はたぶん平氏の残党だろう、 もう一人男が倒れていた、 源氏の武将だった」  源氏の武将の首には大きな咬み傷があり骨まで砕けていた。
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