生まれる前から背負った物語

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 シロの咬み痕だった。  その数メートル先に平氏の男が倒れていた。  咄嗟にセイは理解した。  シロは平氏の男を救うために源氏の武将を殺したのだ、 理由は分からなかった。  いくら平氏でもシロが救った男を殺す訳にはいかなかった。  セイは雪を堀り、 武将を埋め、 血の染まった雪を処分し平氏の男を連れて帰った。 「どうしょう、 これが反対だったら問題ないんだが・・・」  平氏が死んで源氏を助けたのなら問題ない、 それどころか報奨金まで貰える。  しかし、 シロは源氏を殺した。 「何か理由があるのよ、 でないとシロはそんな事しないよ」  リリは懸命にシロを庇った。
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