生まれる前から背負った物語

21/146
178人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
「まず、 この男を元気にさせないと、 雪が溶けるまで誰にも見付かるまい」  フサが言った。  男は二日間眠り続け三日目の朝に目を覚ました。  目の前に大きな狼がいたので「うわーー!」と大声を上げた。  セイが事情を説明した。 男は黙って聞いていた。  男は起き上がって正座し頭を地面に擦り付けて礼を言った。  男は正太郎と名乗った。 「命を助けていただいて誠に有り難うございます、 しかし、 そのおかげで貴方様の命が危うくなるかもしれません、 何とかしなければ」  今すぐここから出て行くと言った。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!