生まれる前から背負った物語

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「命を助けた限り私にも責任があります、 幸いここは雪の中、 雪が溶けるまでは心配ありません、 ゆっくり静養して下さい」  正太郎は元々朝廷の近くの百姓の倅だったが、 戦に駆り出され訳も分からず従っただけだった。  年は19歳、 まだまだ一人前とはいえなかった。  セイもフサも正太郎を息子のように可愛がった。  勿論、 リリも兄妹のように仲良くなった。  シロも彼を飼い主の一人と認めた。  厳しい冬も正太郎の出現で明るく楽しくなった。  修は考えていた、 そして言いにくそうに理恵に聞いた。 「理恵ちゃん、 悪いけど平安時代から始まると相当時間掛かりそうだね、 夜も遅くなったし」 「大丈夫、 修君の家には電話しといたから、 今夜泊まるからって、 明日は日曜日だから時間の心配はないわ」  ああ、 そういうことだったのかと納得した修だった。
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