生まれる前から背負った物語

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 次の日の早朝シロが帰って来てバタッと倒れた。  全身傷だらけで後肢に矢が刺さっていた。  一家はセイに何が起こったのか理解した。  シロはセイの血に染まった着物の一部を咥えていた。 「お父さんの最期を知らせに夜通し走って来たのね」  リリはシロを介抱しながら泣いた。 「慣れない人間の足じゃここまで辿り着くには丸一日以上掛かるから今すぐ逃げた方がよさそうだね」  フサが言ったがリリと正太郎はシロを心配した。  せめて少しの間と頼んでシロの回復を待った。 その日の夕方から出発する事に決めた。  セイとシロが村に着いた時、 村はいつもと変わりなかった。
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