第1章 明るい梨(なし)

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第1章 明るい梨(なし)

荒れた工場地帯に 吹き抜ける生ぬるい風のなか 瓦礫の後ろに身をひそめる梨梨(りり) そっと顔を覗かせ 周りを見渡すと、 ゆるく巻かれた髪がなびく 梨梨のぱっちりとした瞳は 地帯の中央にある怪しげな 廃ビルを見つめていた。 ビルは4階か5階くらいの高さ 部屋は暗いけど、 廊下でせわしなく行き来する 男たちの姿が目に映る 梨梨は視線を外し 顔を引っ込めた。 「何か見えた?」 隣にいる十和(とうわ)が梨梨に言う 十和は黄土色がかった茶髪を 揺らしながらそこにいた
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