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えっと。 誰だっけ? そこには、少し長めの茶色の髪、耳にはピアスをつけた男の子がいた。 シャツのボタンを二つほど外しているから、襟元が崩れている。 だらしなく緩めたネクタイが印象的。 背が高い彼。 端正な顔立ちだとは、思う。 けれど、なんていうか…… 軽そう……っていうか。 あまり近寄りたくなかったタイプの人に声をかけられてしまい、 「あ、あの、あたし」 キョロキョロとあたりを見回すも、既にグループは出来上がってきていた。 「俺らのグループの女子一人足りないだけどー。名瀬さん来るっしょ」 「…え」 来るっしょって、何? 決定事項のような誘い方に戸惑っていると 「アイツ。マジ行きやがった」 「名瀬さん、ふっちゃえー」 彼のグループであろう他の男の子二人が、はやし立てた。 その横には、クラスの中でも派手な女の子の二人組があたしを見てひそひそ話をしている。 ……冷たい視線。 ……手で覆われて見えない口元。 その光景に胸がチクリと痛んだ。 「名瀬さんが入れば、クラスで一番の美男美女グループの完成なんだけど?」
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