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「バカじゃん。アイツ、ただの名瀬さん狙いの癖に」 「ミエミエだっての」 野次を飛ばすのは先ほどと同じ、彼以外のグループの男の子たちだ。 もうなんなんだろう、この会話。 こうゆうのほんとにイヤなんだけど。 「どう?」 再度、そう聞かれて。 あたしは、断ろうと思った。 「……ごめんなさい」 「ごめんなさいって何? もうどっか決まってんの?」 「そ、それは……」 まだだけど。 まだなんだけど。 他の誰かがあたしなんかをグループに入れてくれるようには見えないんだけど…… もしかしたらこのまま一人かもしれないけど…… それでも、ここのグループに入るよりはいいかなっと思う自分がいて…… でもそれをなんて言えばいいのか。 ううう。 悶えながら、言葉を探していると 「名瀬」 背後から声がかかった。 「お前はこっち」 真瀬侑成の声だった。
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