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「速いんだしって……?」
疑問を持ち、首を傾げると彼が言葉を付け足した。
「あー、そっか。えーと……こないだの体育」
「見てたんだ」
「偶然な」
体育の授業はいつもだるくて、適当に走っていたけれど、二年になって初めての授業は、
思いっきり走った。
風を受けて、前を見て走り切る。
それは爽快だった。
走りぬく真瀬を見ていたから
その姿に感銘をうけたのかもしれない。
とは、言わないでおいた。
荒れた呼吸が整ってきた頃、あたしはある事を思いだした。
「あ! 琴音!」
「はぁ?」
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