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初めてピアノに触れたのは５歳の時だった。
隣に住む５つ上のお姉ちゃんがピアノを弾いていて
それがあたしの家にも聞こえてくる。
遠くから聞こえてくる音色は、綺麗で、心地よくて。
ベランダに出たあたしは、目を閉じて風に乗って届くその音を聴いていた。
そんな日々を繰り返していたある日、ママが言ったんだ。
「ピアノ弾いてみたい？」
って。
優しく穏やかな声だった。
あたしはママに向かって
「うん！」
元気いっぱい頷いた。
ピアノが弾ける？
あたしにもあの音色を奏でる事ができるの？
想像するだけで胸がいっぱいになった。
あたしはワクワクしながらピアノを待った。
数日後、ピアノが届いた。ピアノは二階の空き部屋に設置された。
あたしは、ピアノに魅了され、毎日引き続けた。
優しく、力強く
時には悲愴的に、曲を奏でた。
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