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電車が速度を緩めていく。 二つ目の駅に着いた。 電車を降りる人の波が一気に動いて、出入口付近に立っていたあたしは端の方へよける。 それでも誰かとぶつかりそうで、肩をすくめると遥斗が庇うようにあたしの前に立ってくれた。 「……ありがと」 ぽそりと声を発するも、遥斗は何も言わない。 まぁ、遥斗らしいけど。 そんな事を思いながら ぼうっと遥斗の肩越しに人の波を見ていると、次々と目が合った。 どの子も女の子ばかりだ。 あぁ。そっか。 やっぱり遥斗は目立つなぁ……。 降りる人の中にも、乗り込む人の中にも頬を染めている女の子がたくさんいる。 「めっちゃカッコいい…」 「芸能人?」 「スタイルもいいし、モデルかも?」 ほら、車内からもちらほらと聞こえてくる。 黄色い声が。
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