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……何?
静かに彼を見つめた。
「たれてる」
「うわあ!」
彼が指指した所を見る。スカートに白い液体がついていた。
あたし……バカだ。
完全にソフトクリームの存在を忘れてしまっていた。
昔から大好きで、何度も食べているし。
溶けだす時間だってわかっているはずなのに。
「シミになっちゃうかなぁ。……最悪」
ポケットからハンカチを取り出して、それを拭きながら。
思った事をそのまま声に出して言うと彼が目を細めて言った。
「悪かったな」
真瀬のせいじゃないのに……。
そう言う意味じゃないのに……。
今日の彼は、別人みたい。
教室で見せる顏とは全然違う真瀬侑成を
もっと知りたいと思うのは、
不透明なベールに覆われた春の陽気のせいなのかもしれない。
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