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沢山の学生を降ろした電車が、再び動き出した。
スペースに余裕が出来たので、あたしは遥斗と離れるように、反対側の柵を掴んだ。
けれど、遥斗もこちらにやってくる。
「ねぇ、遥斗」
「何」
そう言うけれど、遥斗はまた外の景色を見ていて、視線を合わせない。
「離れてよ」
「は?」
やっとこちらを見た。
「遥斗といると目立つからイヤだ」
久しぶりだ。こんなに長く一緒にいるなんて。
そして、こんなに女の子の視線を感じるなんて。
……不快感でいっぱいになる。
「目立つのは、お前もだろ」
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