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「ダメだ。これ、どうしようもない」
ソフトクリームは、溶けすぎていた。
柔らかくなったコーンの先からもクリームが流れ出てきて。
あたしは、どうしたらいいのかわからず
取りあえず、スカートにかからない様に手を伸ばし遠ざけた。
ベタベタになった手と溶けてしまったソフトクリーム。
これ、どうしたものかな…と悩んでいると、真瀬がそれを取り上げて。
「えっ?」
驚くあたしに目もくれず、自分の口の中に放り込んだ。
彼の一口は大きくて全部入ってしまう。
「うおっ、甘ぇー。うおー」
そして、食べ終わるともだえ苦しんでいる。
「大丈夫?」
「……うん。ギリ」
全然大丈夫そうじゃないのになぁ。
それでも平気そうな顔をして、
でも、苦しそうに笑って
「何年ぶりに食べただろ? 前より甘くなってねぇ?」
悪戯な笑顔を見せる彼。
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