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「なぁ。ウミ」
「え? 海?」
「あ? あぁ?」
「今、海って言わなかった? 浜降りたいの?」
「……あぁ。そうだな。降りるか」
そう言うと、真瀬は、浜辺へ繋がる堤防沿いの階段を見つけて下っていく。
そこには白い砂浜が広がっていた。
足を落とすと、キュッと砂の音がする。
海辺は白い波が砂浜を洗い流している。
遠くの方でサーフボードを持った男の人の影が見えた。
人影はそれくらいで。
静まり返った春の海に向かって歩いていく真瀬。
あたしは彼についていき、背後から声をかけた。
「今日は……ありがと」
「何が?」
振り向いて口角を上げた真瀬に向けて、あたしは言った。
「校外学習のグループ。入れてくれて」
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