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一瞬、面を食らって、言葉が出なかった。
でも、パッと音を立てて何かが花開くような
不思議な感覚に陥ったのは確か。
待ってたって……あたしを?
そう思うと困惑と恥じらい、色んな感情が混じりあい……
あたしは、なんて言っていいのかわからなくて、真瀬を見つめる。
すると、真瀬は体を半分に折って、言った。
「俺が送ります」
そう言って、真瀬が遥斗に向かって頭を下げている。
なんで遥斗に頭を下げるの?
現状が理解できないけど、理解したくて。頭の中をぐるぐる回転させながらこの状況を見る。
何が起こってるの?
考えてみるも、わからない……。
「真…瀬?」
「送らせてください!」
あたしの声を掻き消すように、真瀬は頭を下げたままもう一度言った。
何なの、これ……
不思議に思って遥斗の方を見る。
遥斗は、うんざりとしたと言うようなため息を吐いてから、真瀬に向けてキッパリと言った。
「もう美羽には近づくな」
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