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あたしのセリフを彼が言う。 真瀬のピアノを聞きたいのは、あたしの方なのに。 どうして彼は、あたしのピアノを聞きたいと言うの? どうして あたしが……ピアノを弾いていた事を知っているの? 答えはわからなかったけれど、真瀬の目尻の切れた茶色の瞳を見ていたら、胸の奥が熱くなった。 「…名瀬?」 何も言わないあたしの真相を探るように真瀬が見る。 真瀬は何か知っているの? 「……昨日、あたし、何か言った?」 何気ない風を装って聞いた。 記憶が途切れているだけで。 昨日のあたしは名瀬に何を話したのだろう。
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