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楽しそうな音楽だ。 音符が踊りだしている。 多分、ここはさびれた商店街の路地裏の先にある子どもの来ない公園。 そこに住む野良猫たちの曲だ。 ドラム缶で遊ぶ猫。友達とじゃれる猫。 母親に甘える猫。 一匹じゃなく、数匹の猫がいる。 色んな猫の姿が頭の中を駆け巡っていた。 楽しい、嬉しい もっと遊びたい! 猫たちがそう言っている気がして、こちらまで楽しくなる。 真瀬の音楽は、想像力をかきたてられる。 独自にアレンジされた楽曲は、真瀬の歌に変換されて、聞き手に伝わってくる。 楽しい。 その風景を楽しむあたしはいつの間にか目を閉じて、彼の音を聞いていた。 音色に酔いしれていると 「弾く?」 何度も猫を踏みつけた後、また彼が言った。 「え……」
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