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いよいよ、あたしたちのグループが乗る番になった。
「いいよ。いいよ。先に乗って」
トロッコ列車に夢中になっていたあたしは、グループの一番最後に並んでいる。
高橋さんと黒沢君
ひかりと竜君が先に船に乗って、
「あ…」
気づけば、残っているのは、あたしと真瀬の二人だった。
横目で気づかれない様に真瀬を見た。
さっき山道で久しぶりに少しだけ話したけど、まだ気まずさは残っている。
真瀬はこちらを見ようとしないし。
あたしも……これ以上、真瀬を見れない。
「早く乗ってくださーい」
船に乗っている船頭さんの声に戸惑っていると、真瀬は目を合わさず前を見ながら「竜と代わろうか?」と言う。
すでに竜君はひかりと一緒に船に乗り込んでいて、今から変わるなんて不可能だし。
それに、放たれた声色が真瀬らしくないと思ってしまって。
驚いて、彼を見上げた。
「…どうして?」
「嫌だろ? 俺の隣は」
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