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「でも、名瀬は落ちるかもな」 「な、なんで!」 「ぼーとしてるから」 「ぼーとなんてしてな…きゃっ」 「うわっ」 その時、船が揺れて、水しぶきが跳ねた。 「つめた」 見ると太ももが濡れていた。ジャージの色が水を含んで濃く変わっている。 「こっち寄れば」 真瀬がそう言った瞬間 「ひゃあーー!」 今度は船が右側に大きく傾き、また水が入ってきた。 「ぐえ」 今度は反対側の真瀬が濡れてる。 よく見ると、前の人たちは水濡れ防止用のブルーシートを膝の上に乗せていて。 「真瀬、これだよ」 「なるほど」 足元にあった青いシートを広げてかけた。 「つか、このシートももう濡れてんじゃん」 「だね」 思わず、二人で顔を見合わせて笑った。
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