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7 #2
「そっか。じゃあ、もう諦めなきゃね……」
「……」
「でも、最後にもう一回だけ言わせて。
あたし……真瀬が好きだよ?」
「……ごめん」
涙が伝っていた。
彼女の頬にも
あたしの頬にも。
初めに惹きつけられたのは、見上げた彼の背。
次は、少年みたいな笑顔には似合わない低い声だった。
あたしを引っ張って走る後ろ姿と、一緒に食べたソフトクリーム。
支えてくれた腕と、待っていてくれた駅前。
隣の席も
聞かせてくれたピアノの音も――……
全部、特別な物になってしまった――……
引き寄せられて
自ら離れて
でも、また引き寄せられて
あたしは、気づいてしまった。
あたしは、真瀬が好き。
彼の事が好きなんだ―――
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