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彼はこの一週間、ずっと傍にいてくれた。 陸上部の練習、ずっと休んでくれていたのかな? そういえば……夜、外出した時の侑成の服装は、上下オソロイのジャージ姿だった。 もしかして、走りに行っていたのかもしれない。 あたしに気を使わせない様に「コンビニに行く」と、言ってくれたのかな? 「それでさ、ウミには悪いんだけど……」 申し訳なさそうに語尾を弱める彼に向けて、あたしはにこりと微笑んだ。 「うんっ!わかった!」 「え…、俺まだ何も言ってない」 「侑成が帰ってくるまで待ってるね! 家の掃除でもしとくよ!」 「掃除はいいって。ゲームでもしてて」 「あたし、ゲームしたことない」 「マジか」 「マジです」 「俺は、高級な猫を拾ったんだな」 そう言って、侑成が微笑んだ。 「練習が終わったらすぐ帰ってくるから」 「うん」
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