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4 #2
「……」
ううん。と、首を横に振りたかった。
でも、そうしていいのかわからなくて、俯くと。
「ゆっくり行こうぜ」
包み込むような穏やかな声で彼が言う。
「だから、これからもどこかへ行って、怖かったりイヤだったりすれば、すぐに言えよ」
「……うん」
そして、彼はどこまでも優しく守ってくれる。
「ほら、食えって。ウミが作ってくれた飯だけどな」
そう言って笑う彼に安心感を覚える。
「うまいわこれ。最高」
彼の言葉は真っ直ぐで
行動は温かくて、心に染みてくる。
あたしはまだ
そんな彼の側にいたいと思った……
もし、神様がいるのなら
もう少しだけこの場所にいさせて。
あたしから侑成を…
この幸せを、奪わないで……
強く、願った。
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