7 #2

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そして、あたしは、 気づいてしまったんだ―― ピアノを弾くと、その時愛した音楽と共に、失くした記憶の欠片たちが一つ一つ蘇ってくるという事に。 それはまるで、パズルのピースみたいだった。 あたしは、優しい音色と共に落ちてくる小さなピースを拾い集めていた。 多分、今のあたしは……無くなった記憶の半分を、取り戻したように思う。 まだうまく繋ぎ合わせる事が出来ないだけで。 小さなピースたちの帰る場所が見つければ。 それらが一つの絵になれば…… あたしは“あたし”を取り戻す。 そんな予感がしていた。 そうすれば、侑成とお別れしなくちゃいけない― この生活が終わる事は、とても悲しい事だけど 仕方のない事だと自分に言い聞かせながら、ピアノを弾いた。 侑成と過ごす時間が増えれば増えるだけ 別れ際の悲しみも増えるような気がするから。 この優しすぎる日常を 手放せなくなる気がしたから――……
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