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コクンと頷く。 手から伝わる温もりを感じていると、ふと彼が窓の外に目をやった。 「夏、だな…」 と彼が言う。 「…うん。夏だね」 あたしはその視線を追って、頷いた。 空が青く澄んで光っている。 緑が目に眩しい。 白い雲に向かって飛ぶ鳥たちもいる。 あたしは夏の朝特有の清々しい風景を見ながら言った。 「ねぇ、侑成……」 「何?」 「あたしね、明日……侑成の練習が終わったら、一緒に行きたい所があるんだ」 彼は優しく微笑んで。 「どこ?」 「うみ」 「ウ、ミ?」 「そう」 あたしは高台の部屋から見える海を指さして、言った。 「もうすぐ夏が終わっちゃうでしょ? せっかくだもん。あたし、海で遊びたい」 「いいよ」 彼は朗らかな笑顔を見せて、言ってくれた。
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