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夕映えが赤く空を染める頃、あたしたちは手を繋いで家路へと戻る。 いつものような会話はなく、感じるのは彼の手のぬくもりと、温かな視線だけ。 そっと隣を見ると、彼が言った。 「……いつ、帰んの?」 囁くような声だった。 あたしは目を伏せて。 「……明日。侑成の大会が終わったら」 「……そっか」 隣から声が降ってくる。 繋いでいた手に力が込められた気がした。
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