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***** ずっと見ていた。 雲の上から、落ちてから。 中学生だった自分の体の中に落ちた高校生のあたしは、息をひそめて、小さくなり 彼女の事をずっと見ていた。 同化していたからだろう。 真瀬侑成と出会って彼女が感じた。 いいえ。二年前の自分が知った 喜びと幸せが、そのままあたしの中にも流れ込んできた。 忘れていたと思っていた記憶は、悲しく惨めな物ではなかった。 それは、温かで優しい記憶だったんだーーー 二年前のあたしは、真瀬侑成と出会って 初めて、恋をしたんだ。 全てのピースは出そろった。 もう反対を向いた色のないピースを見る事は許されない。 あたしは、真実を知るためにここに来たんだ。 中学生のあたしには酷な事だろう。だからあの子は目をそむけた。 その気持ちはよくわかる。それは賢明な判断だ。 でも、今のあたしにならできる。 いや、やらなきゃならないと思った。 この世界に、後悔があるから あたしは死後の世界へいけないのでしょう? そういう事だよね? タンポポ……。
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