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「美羽っ!!!」 駈け込んできたのは、弟の遥斗だった。 全ての状況を一瞬で察知したのであろう 遥斗は、その男を蹴り上げた。 腹の下から蹴り上げられて、吹き飛んだ男はコンクリートの上に倒れ込む。 意識のないあたしの形を変えた左腕に気付いた遥斗の目の色が変わる。 遥斗は、目を覆いたくなるほど、その男をボコボコにした。 ひどくゆがんだ男の腫れ上がった顔面が見えた時、遠くからサイレンの音が聞こえる。 駄菓子屋のおばちゃんが呼んでくれたのかな…… それとも頭のいい弟の事、警察を呼んでから駆けつけた? それはパトカーのサイレンの音だった。 まさか、届くとは思わなかった。 三日前、写真の奥から「どこにいる?」 そう聞かれた時に見える風景を伝えた。 男に襲われそうになった時 助けてと、強く念じた きっと、その声が この場所の映像が あたしの事を探していた 双子の彼に届いたのだろう――。
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