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全てが繋がった。
閉じ込めていた悲しい記憶は、汚されたと信じてしまった事実だった。
けれど、あたしは何もされてはいなかった。
腕を殴られてすぐ、遥斗が来てくれたから――。
制服は乱れていた。
遥斗もわからなかったのだろう。
自分が来る前、何があったのか。
だから、遥斗は何も言わなかった。……言えなかったんだ。
やっと全てが繋がった。
あの事件のせいで、あたしの指は動かなくなったけれど、
今は過去を閉ざした理由がわかって
全ての記憶が繋がってよかったと思っている。
あたしの左腕は、最後まで大切な侑成を抱きしめていた。
あたしの指は最後まで、愛する人に触れていた。
悲しみと絶望だけで包まれていたと思っていた中三の夏の記憶は
たしかに
悲しみと共にあったけれど
あたしはそれ以上に
眩しくて
優しい
誰よりも大切な『侑成』という存在に包み込まれていたんだ――。
彼と過ごした夏の日々が
愛しくて…
恋しくて…
涙が溢れてくる。
その涙は、止まり方を知らない――
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