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「今なら、まだ間に合うよ。
あなたは迷い込んだだけだから」
「え……」
どこに?
「生と死の間の世界に」
「……」
「あなたの、望む答えを聞かせて?」
望む答えは
迷うことなく、一つだけだ。
あたしは……
「帰りたい。あの人が待つ、あの場所へ――」
そう声を放つと、身も心も軽くなっていく。
あたしは指先から消えていき、最後は意識も途切れた。
青く蒼い空に
一本の筋が、雲となって流れた。
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