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ドスンと体に重みが走る。 次の瞬間、あたしが見たものは 「名瀬……お前……、凄い……ジャンプ力だよ。 だけど……ふざけんな!」 侑成の…… いや、これは、真瀬の…… ゆがめた表情と怒りに満ちた声だった。 あたしの左手は真瀬に握られていて、真瀬の右手と繋がっている。 あたしの体の横を枯葉が次々に落ちていく。 枯葉がジャージをこすった時、あたしはやっと自分の置かれている状況に気付き、 思わず、 「なんてとこに返すんだぁ!」と全力でタンポポに突っ込みを入れた。 枯葉がもう一枚、頭の上に乗った。 あたしはそっと目を落とす。 谷底は濃い霧で包まれていて、見えない――。
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