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ザザザザ―――― と壁が大きく擦れるような衝撃音を聞きながら、あたしたちは落ちていた。 背中を丸め、あたしの抱く真瀬の表情がどんどん険しくなっていく。 そして、気づいた。 真瀬は山壁に自分の背を付けて、摩擦を利用して落ちているんだ。 という事に。 その衝撃にしばらく耐えると、靄が晴れて、茶色の地面が見えた。 深い深いと思っていた谷底は、そこまで深くはなかったみたいだ。 靄がかかっていて、わからなかっただけ?
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