23人が本棚に入れています
本棚に追加
ザザザザ――――
と壁が大きく擦れるような衝撃音を聞きながら、あたしたちは落ちていた。
背中を丸め、あたしの抱く真瀬の表情がどんどん険しくなっていく。
そして、気づいた。
真瀬は山壁に自分の背を付けて、摩擦を利用して落ちているんだ。
という事に。
その衝撃にしばらく耐えると、靄が晴れて、茶色の地面が見えた。
深い深いと思っていた谷底は、そこまで深くはなかったみたいだ。
靄がかかっていて、わからなかっただけ?
最初のコメントを投稿しよう!