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ガツンと鈍い音がしたと思ったら、侑成があたしの胸元に倒れ込んできた。
「侑成……」
倒れ込んできた彼の肩を持つ。
名前を読んでも、返事はなくて
「侑成……イヤだ、やめてよ」
そう言って揺すると彼は細く目を開けて
「いってなぁー!」
顔を顰めて、後頭部を抑えた。
「ふざけんなっ! てめー!」
そして、彼が男に向かっていく。
振り上げた手の長さも、身長も、体格も全て彼の方が小さいのに
彼の力は思っていた以上に強くて男はその場に叩きつけられた。
ドサッと音を立てて、その場に倒れ込んだ男が八ッと短く息を吐いた。
蹲る男に侑成がまた、飛びかかろうとするから
「侑成、やめて! 逃げよう!」
彼の元へかけより、腕を持った時だった。
彼の肩越しに、醜くゆがんだ顔が見えた。
ヒッと声を上げた瞬間、男が飛びかかってきた。
侑成は咄嗟にあたしを庇うように抱きしめる。あたしたちはそのままコンクリートの上に倒れた。
あたしの体の上に侑成の体がある。
ガッシリと守られていた。
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