第1章

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地下200メートルにある、大陸間弾道ミサイル管制室。 戦略司令部に繋がるホットラインのベルの音が、2人の男の耳を打つ。 階級が上の男が受話器を取り耳に当て、命令を受領。 彼は金庫を開け、中にあった2通の封筒を取り出し、1通を同僚に渡した。 封筒の中には、鍵と暗証番号が書かれた紙がそれぞれ入っている。 彼らは暗証番号をそれぞれ打ち込み、それぞれが鍵を鍵穴に入れ声を揃えて数を数えた。 「「3、2、1、0」」 0の声と共に、鍵が同時に回される。 2ツの鍵が同時に回されると、2人が管轄する5~6基のサイロの蓋が開き、大陸間弾道ミサイルが大空めがけて発射された。 弾道ミサイルの発射を終えた2人の男の内の1人が、首からぶら下げている十字架を握り呟く。 「神よ、許したまえ」 それから彼は腰に下げている拳銃を抜き、顎の下に当て引き金を引いた。 弾道ミサイルが発射されて30分後、管制室やサイロが点在する上空で核弾頭が爆発、放射能を撒き散らし地上を死の世界に変える。 1人残された男は、頭を撃ち抜いた同僚の遺体を眺めながら、戦争が終結するのを待ち続けた。 命令を遂行し終結を待つ彼には、終結が何時になるか知る術は無かったが。
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