OVER

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……しらばっくれても、ダメ。 もう、わかつているのです。 あれは、貴女がされたこと。 証拠だって、ちゃあんと、あるんですよ? そりゃぁ、最初は、 私もあの子も、まさか贈り主が貴女だなんて、 思いもよりませんでしたけれど。 朝、教室に入ると、あの子の机の上に、 一輪の薔薇の蕾が置いてある。 手紙もなく、誰が置いたものか、 皆目見当もつきませんでした。 あの子は、大層不思議がって、 けれど、とても、喜んでおりました。 あの子が一等好きな、 淡いピンクの薔薇でしたもの。 きっと、誰か、あの子に好意を寄せている方が、 名乗ることは恥ずかしいので、 そっと、薔薇の蕾を置いたのだと、 目を輝かせて想像しておりました。 その時のあの子の様子、もちろん、 覚えていらっしゃるでしょう? あの時も、貴女はその場にいらしたのですから。
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