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その後
あれからリク君の一周忌が終わって。
麻里子は家を出た。
しばらく実家にいさせてはもらうが、仕事の目処がついたら引っ越そうと思っている。
あの日の靴と帽子はそのまま出てくるときに持ってきた。
私の大事なもの。
位牌は向こうの家が渡さなかったから。
離婚したいと言い、何もいらないと言ったらすんなり決まった。
あの家では私だけが悪者だった。
事故が起きる前から私はずっと悪者だった。
結婚してから子供ができないのも。
ケイ君が夜泣きするのも私が悪かった。
勉強がいまいちなのも。
上手くいかないすべてが私のせいにされた。
私も謝っても許してもらえない事に倦んでしまったのだろう。
そもそも何故私は謝り続けていたのだろう。
不思議だ。
離婚できて良かった。
ケイ君の写真に微笑む。
一緒に生きていこうね、お母さんはもう大丈夫だよ。
ソラのところにしばらくして麻里子からお礼の手紙とアイス券が送られてきた。
お金でなくてごめんなさい、と詫びてあったので
とてもうれしいです、と返事を書いた。
双子達もリクもアイスは大好きだしな。
もちろん僕も好きだ!と呟いてソラは手紙を投函しながらクスリと笑った。
手紙はカタリ、と音を立てて落ちていった。
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