第2章 死骸とネコと、半心の悪魔 ─ ケース4 ─

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「あッ……!?」と、声にならない言葉がもれる。  まるでアエカちゃんとアケミちゃんのことを言っているように聞こえたからだ。  “白い顔の黒い悪魔がやって来るよ”  ふいに養護施設で霊が残した言葉が甦った。 「創世のヤコブは闇の天使に勝ちましたが、現代ではどうやら負けたようですね」  神父が微笑むように言うと、花壇の花を眺める。 「マリーゴールドの花言葉は“悪を挫く”というものの他に、嫉妬の“下品な心”というネガティブな意味もあるのですよ。 それは黄色が、キリストを裏切ったユダの服の色とされるから忌み嫌われているのです」 「貴様は何者だ?」  ナギサが問うた。 「汝らと相対する存在意義に生きる者です」  神父が重い声で答える。 「貴様の名は?」 「我が名はペイルライダー」  神父が言い捨てると背を向けて、僕たちの前から飄然と歩み去った。 ──第2章 死骸とネコと、半心の悪魔 終。
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