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「な、なぜ井坂アキオ君の霊がミヤビちゃんに取り憑いていたのですか?」
僕は興奮のあまり掠れた声で訊いた。
「その2つ目の謎を解く仮説を証明する前に、養護施設の保育士が証言した子どもがまったく別の人格に変貌していた件を話さなければならない」
「ヒナタさんが会った子どもが“あなたなんて知らない。施設なんて知らない”と言い張り、まったく赤の他人のように見えたという件ですね」
「然り。あたしも3年前の事件から複数の事案を追って、同様の別人格への変貌と見られる子どもを確認したよ」
「複数の事案って……そんなおかしな現象が幾つも発生しているのですか?」
「あたしが確認しただけでも10件はあるね」
「そ、そんなに……!?」
驚愕のあまりナギサと顔を見合わせる。僕たちの知らないところで異常な事態が粛々と進行している恐怖に打ち震えた。
「それで今回は保育士ヒナタの協力を得て、変貌する前に子どもが書いた施設発行紙向けの作文を入手したよ」
アオネさんがそう言いながら、パラリと1枚の用紙をテーブルに置いた。
「そしてこれが街頭アンケートで手に入れた、変貌した後に子どもが書いた用紙だよ」
そんな悪徳商法まがいのことまでやるなんて、と呆れながらも2つの紙を見比べる。
素人目に見ても2つの紙に並んだ文字は別モノとわかった。
「一見して2つの文字は別人が書いたものとわかるだろう。念のために筆跡鑑定をしても、2つは別人が書いたものとお墨付きがついたよ」
「では、本当に別人に変わっていたということですか。そんなことってあり得るのでしょうか?」
「これも念のため指紋鑑定をしたけど、これは同じ者の指紋だと確認できた」
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