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「ナギサ、どうするんだい!?」
「今なら間に合う。マナミの魂を元の器に戻すぞ」
焔に貌を照らされたナギサが歩を進めようとすると、
「みすみす見逃すと思っているのか」
赤い灯りで相貌が陰るペイルライダーは祭壇の前に立ちはだかる。
突如として影差すように陽が隠れ、ステンドグラスを突風が叩きだした。
遠くから低く唸るような雷鳴が、徐々にこの教会に近づいてくるのを感じる。
「嵐が迫って来るよ」
後ろに控えるアオネさんが言った。
パッシャッ!!
突然、雷鳴が轟き鳴る。
「ひいっ!?」
稲妻が教会を裂いたかと、短い悲鳴がこだまする。
まるで雷光が実体化したように、ペイルライダーの前に3体の異形が現れた。
それはおよそ尋常な人の姿形に非ず。冥界から召喚された魔人であろうか。
中世の西洋甲冑に身を包み、嘶き荒ぶる盲目の馬にまたがる騎士。
各々が相違した色相で、馬ばかりか全身を染めていた。
「我が僕なる黙示録の三騎士である」
ペイルライダーが厳めしく告げる。
黙示録の三騎士と呼ばれた異形──白・赤・黒と三色に身を染める冥府魔道の御使いであった。
甲冑の兜に隠れて相貌は窺い知れぬが、眼の位置にある隙間から茫とした凶光が覗いている。
その甲冑は毒蟲や禍蛇の禍々しい文様が彫られ、無機質なはずの鎧表面がぞわぞわと蠢いているではないか。
「“暴力”を司るホワイトライダー」
白馬にまたがる白色甲冑の騎士は、その手に弓を携えていた。
「“不信”を司るレッドライダー」
赤馬にまたがる赤色甲冑の騎士は、その手に大剣を翳していた。
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