第3章 世界の涯てに泣く者と ─ ケース4 ─

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 それは3人の子どもであった。  ユキナちゃんの亡くなった弟である白姫マサル君が、  双子の姉妹アケミちゃんの姉である赤海アエカちゃんが、  3年前に亡くなりミヤビちゃんに憑いていた井坂アキオ君が、  3人ともにナギサの死送りの術式で旅立った子どもである。  ナギサを護るために駆けつけてくれたのだ。 「みんな……っ」  傷ついたナギサが感極まった声をもらす。  すると3人がうなずきながら、ナギサの掌で燃えたつ焔に手を伸ばした。  瞬時に焔が燃えうつり、見る間に黄金色に輝く火焔に成長して3人の全身を覆った。 「そんな……馬鹿なっ……!?」  ペイルライダーが愕然として言葉を失う。  黄金色の焔を纏った3人に対峙する三騎士も、畏怖するように後退る。  白色の騎士が、赤色の騎士が、黒色の騎士が──怖じけ、狼狽し、恐慌した。  逃れるように馬首を返そうとするが、それよりも迅く黄金色の3人が迫る。  その小さな手が触れた途端、轟ッと三騎士が威勢よく燃えあがった。  断末魔がごとき不可聴の絶叫をあげて、きりきりと暴れながら金色の業火に灼かれる。  そして黄金の焔が一点に収斂すると、三騎士が大轟音を発して粉々に爆ぜた。 「ぐうっ」  爆発の余波を喰らったペイルライダーが吹き飛んだ。  木偶のごとく宙を舞うと、十字架がそびえる壁に叩きつけられる。 「……エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ(我が神、我が神、なぜ、我を見捨てたもうたか)」  血を吐きながら呻き声をもらすと、ペイルライダーが前のめりに崩れ落ちた。  どっと床に倒れ伏すと、死んだように微塵も動かなくなる。
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