第1章 死送る者のレゾンデートル ─ ケース4 ─

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「あの半分破れた絵本、私が続きを描くと決めた」 「ナギサが絵本を……」 「私が忘れた想いを、描いた絵本を読んで想い出してくれる。私が無くした心を、きっと誰かが育んでくれる。 そう思って、絵本を描くと決めた」 「うん。ナギサの描いた絵本、僕も見たいな」  しみじみとそう思う。  するとナギサが、はにかんだように初めて笑った。  それは心奪われる、無垢の笑顔だった。  僕は懐に入れておいた辞表を、そっと破ってポケットにしまった。 ──第1章 死送る者のレゾンデートル 終。
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