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「ようこそ橘邸へ。今日からここで一緒に暮らすんだ」
車の後部座席から降りた遥たちの正面には、白亜の洋館がそびえている。
隣を見ると、七海がイルカのぬいぐるみを抱きしめて、不安そうに屋敷を仰ぎ見ていた。その小さな手に力がこもる。すこし前まで泣いていたせいか目元が赤く、いつもの元気もない。
だが、いつまでもここで立ちつくしているわけにはいかない。このあと面会の予定があるのだ。こちらの都合で急かしてしまうことを申し訳なく思いつつ、優しく肩を押して玄関へと促した。
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